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新しい発想で心の問題を考える株式会社ミュゼ・アルディ

境界性パーソナリティ障害BPD

境界性パーソナリティ障害はこころの病気でしょうか

カウンセリングを行う立場からすると、避けて通れないのがこの「境界性パーソナリティ障害」でしょう。その
症状の中心となるものは、著しく不安定な思考や感情、行動およびそれに伴うコミュニケーションの障害です。い
わゆる「難病」として扱っても良いくらいです。

この症状の家族と長く暮らしていると、下記のような”あまりに激しい情動”を長期間受けることになり、その方が
本来持っていて変わらないはずの「気質」が変化(悪化)することも頻繁にあります。

 境界性パーソナリティ障害 人格障害  パーソナリティ障害  パーソナリティ障害



境界性パーソナリティ障害の症状を簡単に言うなら「幼なすぎる」ということです。些細な事で激怒し、これでも
かと言う程、相手(配偶者や親など)罵ります。その怒りの表し方はきわめて自己中心的で、相手に対する配慮が
欠けています。笑わせようと冗談を言った場合、誰でも冗談だと分かる内容であっても『嘘をついた』と真顔で怒
りを表すこともあります。

不安に対して敏感で、増幅させやすいところがあります。友人の夫が浮気をしていたと聞くと、自分の夫も浮気を
しているに違いないと思うケースもあります。

へ理屈をこねては、際限のない要求をし、家族がへとへとになって要求に応えても、感謝をする事はありません。
自分に形勢が悪い時は、嘘をついてまで自己弁護をします。自分の気持ちや意志を、言葉にして伝えるのが苦手と
いうことで、アスペルガーやADHDと間違われることもあります。


具体的には、衝動的行動(自分の地位や立場を忘れてしまう)、白黒思考(どうでもよい問題まですべてダメ出し
してしまう)、対人関係の障害(表面に出る敵意と攻撃性)、慢性的な空虚感(相手が何を言っても受け入れない)
自己都合な主張(自分の都合や相手の欠点のみを主張する)などがありそのことが関係して自傷行為や薬物・アル
コール依存や自殺企図などの自己破壊行動へと進む場合があります。

さらに、その間にも怒り、空しさや寂しさ、見捨てられ感や自己否定感など、感情が次々に発生してくるため、自
分をコントロールできなくなるのが特徴です。気持ちがおさまった後では渦中の行為を反省し、後悔の念が激しく
襲ってきますが、時間の経過とともに同じことを繰り返す傾向があります。

本来、人間は成長していく中で、人それぞれの個性を獲得しながら発達していきます。明るい・ 前向き・陽気・い
いかげん・怒りっぽい・神経質・おおらかなど、本当にひとりひとり違う面を持っています。ところが、中にはそ
の一部分が極端に出すぎてしまい、社会生活を送る上で自分も含めた周囲の人々を困惑させる方が存在します。こ
うした人々のことを精神医学の分野では「人格(パーソナリティ)障害」と呼ぶようになりました。

パーソナリティ障害は下記に記載の通り種類がありますが、そのうち気分の波が激しく、感情が極めて不安定になり
強いイライラ感が抑えきれなくなるタイプの症状を「境界性パーソナリティ障害」と分類しています。若い女性に多
い症状だとといわれています。

「境界性」という言葉は、もともとは「神経症」と「統合失調症」という2つの心の病気の境界にある症状を示す
用語だったのですが、最近ではあまり意味を持たないようです。

うつやアダルトチルドレンはカウンセリングの原点ともいえるべき症状ですが、そのうち数パーセントがこの症状
だとも言われています。例えば、「強いイライラ感」は神経症的な症状で、「現実が認識できない」という症状は
統合失調症的なものです。

カウンセリングの場合は、最初はおとなしくしていても、慣れるにしたがって激しくカウンセラーを攻撃してくる
場合がありますので、不慣れな方は対応できずパニック状態となり、言われるままにクライエントの言うことを聞
いてしまうケースもあるようです。

この症状は、下記の通り本来は設備の整った大病院で、服薬とカウンセリングを併用して治療すべきものなのですが、
他頁でも述べているように「症状を本人が判断している」というのが日本の現状ですから、間違ってカウンセリング
にお越しの方が後を絶ちません。

境界性パーソナリティ障害の特徴

よく見られる症状として、主に以下のような点が挙げられます。

  • 妄想状態(現実に発生している場合もあり)で、人に見捨てられることを強く恐れる。(見捨てられ不安)。
  • 対人関係の変動(相手を攻撃する)があるため、友人関係が維持できない。
  • 「後ろを見て前を見るだけで機嫌が変わる」というほどスイッチが入ると手が付けられない怒りを発する。
  • 自殺のそぶり(線路に寝る・マンションの屋上に上る)や自傷行為を繰り返す。
  • 自己を損なう行為(薬物・アルコール・万引き・過食・買い物など)に依存する。
  • いつも空虚な気持ちを抱き、幸せを感じにくい。
  • 自分が何のために生きているのか分からない、自分が何者であるかわからない感覚を抱いている。


境界性パーソナリティ障害を発症する原因


境界性パーソナリティ障害が発症する原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、「生まれつきの障害」と
「環境」が考えられます。

まず「生まれつきの障害」については、アスペルガー症候群などの発達障害と同様もともと境界性パーソナリティ
障害になりやすい脳本体の傾向をもって生まれてくる可能性です。また、「環境」にまつわる要因としては、幼児
期の虐待や、母親との愛情関係がうまく築けなかったことが関係しています。

このように、遺伝的な要因をもった人が、育った環境によって境界性パーソナリティ障害を発症することが多いよう
です。他のパーソナリティ障害(以下:ウィキペディアより抜粋)を併発しているケースも多いようです。

自己愛性パーソナリティ障害

   境界性パーソナリティ障害では、対人関係において支持への要求を顕著にあらわすが、自己愛性パーソナリテ
   ィ障害の場合はそれよりも巧妙な手段を用いることが多い。自身を否定された時に対する過敏性は共通してい
   る。境界性パーソナリティ障害は情緒が極端で、対人関係の安定性が低いのに対し、自己愛性パーソナリティ
   障害はより安定し持続した関係を持つことができ、尊大であり自己評価も高い。対象接近衝動、見捨てられ抑
   うつ、行動化、対人操作の有無が鑑別における指標となる。

反社会性パーソナリティ障害

   境界性パーソナリティ障害が反社会的行動をとった場合は恥や呵責、不安を感じることが多い。一方、反社会
   性パーソナリティ障害の人が後悔する場合は、自分自身にもたらされた結果においてのみであり、不安も感じ
   ない。

スキゾイドパーソナリティ障害

   境界性パーソナリティ障害の感情の平坦さは抑うつとともに現れる状態様であるが、スキゾイドパーソナリ
   ティ障害の感情の平坦さは性格的なもので恒常性がある。薬物の乱用率も低い。

演技性パーソナリティ障害

   演技性パーソナリティ障害の方が、全体的な機能水準が高く、対人関係や自己像の安定性が高い。自己破壊的
   な行為はあまりない

境界性パーソナリティ障害の改善(治療)

カウンセリング単独では対応できないため、簡単に記しておきます。
「気分の落ち込み・強い不安感・怒りの感情・冷静でいられない」などの症状に対しては、 抗うつ剤や抗不安薬な
どの薬を用いて治療します。それと並行してカウンセリングや 行動療法で根気よく治療して行きます。

一番大切なことは、本人の「治りたい・治したい」という気持ちが高くない点です。もともと他罰的傾向が強いた
め、治療に対しても意欲的でない方が多いようです。医師や心理士を信頼し「治りたい・治したい」気持ちを忘れず
に対処できるかが重要になります。

以上ご説明させていただいたように、境界性パーソナリティ障害をもつ人は自分に不安や恐怖を抱えていますが、
それ以上に周囲の人々を振り回し、破壊する傾向があります。どれだけ自分を愛してくれているかという「試し
行動(テスティング)」などは、それがかなり強い点において、特にご家族の方にとって大変な問題になります。
関わりを一人で抱え込まず、専門家などに相談するとともに、複数のご家族で対応することをお勧めします。難し
いことですが、自分に無理のない範囲にとどめておくこともポイントです。ひとりで対応して、対応者ご自身が壊
れることのないよう十分ご注意ください。